GLP1は、Glucagon-like peptide 1の略語です。

日本語で略すると、グルカゴンのような、グルカゴンと似ているペプチド、ということになります。

なぜ、GLP1が、グルカゴンと似ているか、それについては、糖尿病の専門医でさへも、似ているという意味を深く考えた事はなかったように思います。

みんながそう呼んでいるから、そうなんだろうな。
きっと、構造式が似ているのだろう。
あるいは、分泌様式が似ているのだろう。
ざっくりイメージで、とらえていました。

でも、鼻から吸収されるグルカゴンが発売されて、また、グルカゴンとＧｌＰ１の合剤についての動物実験が始まっている今になると、人間の身体から、「エネルギーを外部に出そう」とするホルモンという意味で似ている、と気がつかされました。

グルカゴンは、肝臓での糖新生を高めます。脂肪細胞を分解します。つまり溜めている体内のエネルギーを外に持ち出そうとします。

ＧＬＰ１は、まず、体内にエネルギーがはいってこようとするのを止めます。食欲中枢を抑制し、胃から小腸への食物の移動をゆっくりにする事で、エネルギーを小腸まで持ち込まないようにと作用するわけです。

どちらのホルモンも、体内にエネルギーを溜めないようにと作用するという意味では、似ている作用を持つと言えます。

これに対抗するホルモンこそ、「インスリン」です。体内にエネルギーをためこみ、脂肪合成を高め、血糖値を下げる事で、正常血糖にし、余ったエネルギーを必要な脂肪や肝臓にため込みます。インスリン注射をしている糖尿病患者さんが、ＧＬＰ１ダイエットの対象外となるのは、そのためなのです。

こう考えると、まんざら、時間と手間をかけて、アメリカ糖尿病学会、サンフランシスコまで行って、国際学会に参加してきた意義が多いにあったような気がしてなりません。たった、１つの言葉の解釈について、ですが、その道の専門家にとっては、新しい解釈を得る事は、大きな意義になって思えます。