Wegovyの原著論文。原点となる内容です。
この論文より引用要約改変。
【要約】
本試験は、肥満または過体重の成人を対象に、ライフスタイルの改善として1週間に1回2.4mgの皮下注射セマグルチドを投与することが、体重減少に効果があるかどうかを調べたランダム化比較試験である。参加者1,961名を、セマグルチド群(n=1,307)とプラセボ群(n=654)に2:1の割合で無作為割り付けし、68週間治療を行った。主要評価項目は、体重減少の割合と5%以上の体重減少の有無であり、それぞれの評価項目でセマグルチド群がプラセボ群より有意に優れた結果を示した。
また、セマグルチド群は、心血管代謝リスク因子の改善や身体機能の増進も認められた。ただし、セマグルチド群で下痢や吐き気の副作用が報告され、副作用による治療中断がより多く見られた。以上の結果から、セマグルチド投与による体重減少の効果が明らかになった。
また、本試験では、治療の中断や救済措置にかかわらず、治療効果を正確に反映する評価指標であるprimary estimandに基づいて、治療効果が評価された。
その結果、
セマグルチド群の平均体重減少率は-14.9%、プラセボ群は-2.4%であり、差は-12.4パーセントポイント(95%信頼区間、-13.4から-11.5、P<0.001)となった。
また、セマグルチド群では、5%以上、10%以上、15%以上の体重減少を達成した参加者が、プラセボ群よりも多く認められた
5%以上:1,047名[86.4%]vs.182名[31.5%]、
10%以上:838名[69.1%]vs.69名[12.0%]、
15%以上:612名[50.5%]vs.28名[4.9%]、
すべての比較においてP<0.001)。
セマグルチド群では、心血管代謝リスク因子の改善と身体機能の増進も認められた。ただし、下痢や吐き気などの副作用が報告され、セマグルチド群では副作用による治療中断がより多く見られた。総じて、セマグルチド投与による持続的で臨床的に有意な体重減少が確認された。
この研究は、肥満や過体重の治療に対する限られた薬物治療法の中で、1週間に1回のセマグルチド投与が有望な治療法であることを示唆している。さらに、本試験は、治療の中断や救済措置を考慮した評価指標に基づいて、セマグルチドの有効性を確認した点で、その方法論的側面においても注目に値する。
研究の制限としては、本試験は、セマグルチドが持続的な体重減少をもたらすかどうかを評価するために68週間のみの治療期間を設定していたことが挙げられる。さらに、本試験は、糖尿病を有する参加者は対象としていなかったため、糖尿病を有する肥満患者に対するセマグルチドの有効性については、今後の研究が必要となる。
総括すると、本試験は、1週間に1回のセマグルチド投与がライフスタイルの改善と併用された場合に、肥満や過体重の成人に対して持続的で臨床的に有意な体重減少をもたらすことを示した。