GPR40 、飲むやせ薬、糖尿病薬として復権?
GPR40とは、膵臓にあるGPR40受容体という部分に作用して、インスリンを分泌させ、血糖値をさげると考えられ、世界中で第3相臨床試験まで行われた薬剤でした。
ひさしく、GPR40は忘れ去られていて、他の、GPRが取りざたされていた時代がありましたが、今年、2019年のアメリカ糖尿病学会では、再度、復権をかけた発表がありました。
SCO-267,a GPR40 Full Agonist, improves Glycemic control and Weight Control more than That by Fasiglifam in Rat Models of Diabetes and Obesity.
Yusuke Moritoh. Hikaru Ueno. et al. ADA2019.発表。
このHikaru Uenoさんは、武田薬品の社員。
Yusuke Moritaさんは、Scohia製薬の社員。どちらも日本人のようです。
武田薬品は、一度、GPR40受容体作動薬を開発して、市場にでる前に、撤退を与儀なくされました。たしか、肝機能障害が多かったことで、断念したはずでしたが、再度、この分野で、糖尿病だけでなく、肥満に対しても、挑戦する薬剤をみつけたようです。おそらく、みつけたのは、SCOHIA製薬のほうでしょう。武田薬品は、共同開発契約を交わしたのかもしれません。
いずれにしても、GPR40は、糖尿病の世界では、一時は、期待された糖尿病の新薬でした。それが途中頓挫して、もう、復権は無理かと思っていたら、今度は、「糖尿病と肥満に効く薬」として開発が始まっていました。
いかに、「糖尿病治療」が、「肥満治療」へと、軸足をシフトさせてきたかが、わかります。
まだ、PhaseIにすらなる前の薬剤ですので、将来、市場にでるかどうかもわかりません。ですが、私としては、GPR40の治験に携わった経験があり、とても、懐かしい薬剤です。
ぜひ、今度は、「糖尿病と、肥満にきく、新薬」として、応援したいですし、
なんとか、また、立ち上がって、新薬として活躍してほしいと考えます。