医療情報の総合サイトへの取り組み(事例:@ソニーコミュニケーションネットワーク) 9
分野のそれとは少し違った方向性を見せている点だ。
ワン・トゥ・ワンマーケティングを指向する多くの企業にとって、究極の目的はロイヤル顧客の確保にあるといって過言ではない。鈴木医師はその展開について、次のようなビジョンを語っている。
「My Mediiproは、さまざまな製薬会社や出版社などのIPに対して、自由競争による「街」を提供することによって、より価値の高い情報の流通を活性化させるという発想に基づいています。そこでの利便性を高めるファシリティを整備する上で、ワン・トゥ・ワンが効果的であると考えました」
医療情報の提供に際しては、患者の病態を診断し、治療の方法を決め、病態にフィットした適切な処置を選択しその後の経過を見守る、といった治療プロセスを汲み取ることが重要となる。また、医師をはじめ、薬剤師や看護師にもそれぞれの職務に応じた情報ニーズがあり、これら医療スタッフの役割を知った上で、もっとも適切な情報を伝えることが、My Mediproのような専門サイトにおける本質的な役割となるのだ。どこか特定の製薬会社や出版社のビジネス戦略を代弁するというスタンスでは、決してこの理想形を追求することはできないだろう。
確かに、医療といえど経済活動から切り離して考えることはできないが、単なるプロモーションにとどまっていてはダメなのだ。だからこそ、My Mediproは直接的な営利活動とは一線を画し、利用者とIPの間の中立的な立場にサイトを位置づけた上で、情報流通をコーディネイトしているわけである。