ビタミン剤を利用するときのポイント① 素人判断で大量に飲んではいけません
「 完璧活用 ビタミン BOOK 」の 連載」
ビタミン剤の利用で大切なのは、大量に飲み過ぎないこと。ポーリング博士の著書がきっかけとなって、メガビタミンがブームになったことがあります。メガビタミンとは、ビタミンの大量服用のことです。その量は所要量の数十倍から数百倍。ポーリング博士はその著書の中で「ビタミンCを大量に摂ると風邪を予防できる」「ガン患者にも延命効果を発揮した」と書き、ビタミンC大量摂取を唱えました。
ところが、これに対し、1985年11月、我が国の厚生省と健康・体力づくり事業財団が作った、ビタミンCやEの摂り過ぎに注意を促すパンフレットのなかでは、「ビタミンCについて世界各国でいくつもの試験調査が行われた結果、風邪に有効という成績は得られなかった。現在、アメリカでは風邪とビタミンCの関係は公式に否定されている」と記すと同時に、ガンへの効果についてもアメリカのある医療施設が発表した予防効果を否定する報告を取り上げ、「アメリカ医学界はこの報告を高く評価する一方、ポーリング博士らの報告は化学性に欠けていると判断している」と記しています。
一般に、ビタミンの働きは、細胞レベルなどではかなりわかってきましたが、人間の生理の仕組み全体では、まだまだ未解明の部分が多いといわれます。それなのに素人療法で、例えばビタミンCを、ただやみくもに1日の所要量の何百倍も飲むのは感心できません。
確かにCには過剰症はないといわれますが、純度100%近くのアスコルビン酸(ビタミンC)は、もはや薬物です。薬は基本的には毒だということを忘れてはいけません。本来は栄養素であるビタミンも、大量に服用すれば毒にもなりかねないのです。事実、先ほどのパンフレットによれば、Cを大量に摂ると肝臓の機能の一部が低下するという研究がある、と述べていますし、軽い胃腸障害を起こしたり、乳幼児はC依存症になりやすい、とも言われています。また、アスコルビン酸はそれ自体酸性物質ですから、胃酸の分泌が多い人や、十二指腸潰瘍のある人には、やはり好ましいとは言えません。
出典 完璧活用 ビタミン BOOK
鈴木吉彦 著 (株) 主婦の友社 発行