陥りやすい「落とし穴」
米国糖尿病学会の発表から。
954-P — 2020 ADA
GLP-1–Experienced Patients Switching to Once-Weekly Semaglutide in a Real-World Setting (EXPERT Study)
現実的には、糖尿病治療薬として使用されている薬より、オゼンピックのほうが、はるかに強いということを現実社会(Real world)で証明したデータが発表されました。ですが、ここには、重要な事、陥りやすい「落とし穴」ある事を理解しておかなくては、いけません。
米国や海外では、ビクトーザがとても高価なのです。エビデンスが多い薬は米国では高価すぎて、投薬をうけた人の約7割は、ビクトーザを、1.2mgくらいしか使えていないという数値があることを昨年、報告させていただきました(Xenor Study )。サクセンダ2.4mg、3.0mgまで利用できる人は、かなりセレブなのです。
ですから、ビクトーザ1.2mgから、オゼンピック1.0mgに切り替えれば、当然、オゼンピックのほうが強いという結果がでてしまいます。こういう社会的な背景を理解しないで、単純に、オゼンピックが最も強いGLP1製剤だということを脳裏に埋め込むのは、危険です。
某医師が、さかんにメールや電話で、オゼンピックを薦めてくるようです。うっかり、そういう誘いには、乗らないようにしましょう。
そして、サクセンダは0.6mgでも痩せる、とうたっている美容系クリニックも、XENOR studyを見れば、大嘘つきだという事がわかるはずです。全体の、たった2%しか利用されていないのですから。サクセンダ0.6mgでは痩せませんし、無駄です、というブログが、数ヶ月、人気ランキング1位でしたが、しっかりしたこういう背景がある事を知っている医師がいかに少ないかを物語っているようです。