ADA 抗肥満治療、総論。その3.
最後に紹介されたのが、GLP1製剤の、リラグリチド。
やはり、アメリカ糖尿病学会(ADA)でも、GLP1ダイエットがオオトリでした。
0.6mgずつ増量して最大3mgまで増量できるペンが、サクセンダ。
0.3mgづつ増量して最大1.8mgまで増量できるペンが、ビクトーザ。
中身は、同じですが、最大投与量だけが異なります。
糖尿病の海外の治療では、ビクトーザで血糖コントロールは十分ですが、体重の減少ともなると、さらなる増量が必要で、サクセンダ、が必要になる場合があります。
もちろん、成分は、同じリラグリチド、です。
糖尿病の治療薬にもなります。がしかし、主たる目的を「減量」とした場合においては、3.0mgまでの増量が可能である薬剤と考えてよいでしょう。
糖尿病の患者さんが、例えば、HbA1cが6.8%であっても、サクセンダであれば、5.6%、つまり、ほぼ正常人の中央値まで下げれるということも、私たちは経験しています。ですから、糖尿病プラス抗肥満で、サクセンダを利用しても、海外では、承認薬なので、問題ないわけで、糖尿病専門医としては、きわめて、うらやましい治療があるといえます。
その意味で、日本は、糖尿病治療後進国になってしまっているのです!。糖尿病専門医の小生が、GLP1ダイエットを行うのは、そうした海外に後れを取りたくないからでもあります。
さて、、GLP-1受容体作動薬の作用機序は、
血糖応答性にインスリンを分泌させ、グルカゴンを抑制しますから、低血糖を起こしません。胃排出速度をゆっくりにするため、食後の満腹感がまし、お腹がはる感じがおこります。かつ、中枢性作用も、最近になり証明され、食欲を抑制し、食物の摂取を抑えます。
GLP1が脂肪分解します、というPR広告をしているサイトがありましたが、美容系のサイトで、代謝の意味をはき違えているようです。
なお、
思春期(12歳から17歳)におけるPK研究も、5週間、行われており、大人と同様な満足感や忍容性があることが証明されています。しかしながら、たった5週間だったため、体重の減少は、プラセボ群とは、統計的な有意差はつきませんでした。これをうけ、現在、12歳から17歳における思春期の対象群に対して、52週間のRCT(ランダマイズ、コントロール試験)を行っており、現在も、それが進行中です。
そして、以前にも、ご紹介しましたが、このリラグリチドと併用が勧められるのが、オルリスタット(ゼニカル)です。通常、ゼニカルは、油をとりすぎると、トイレにかけこんだり、失便したりして、継続できないものなのですが、リラグリチドを注射していると、日本人では、腹持ちが強くなり、油類をとりにくくなります。リラグリチドの副作用で多いのは、「便秘」です。ゼニカルは、脂肪便にすることで、その「便秘」の解消にもつながります。
ただし、「失便」を嫌う方にとっては、どうしても、ゼニカルは、受け入れがたいものがあることでしょう。将来、なにかしらの対策がでてくることを、期待しております。
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また、こういう便秘などに苦しめられるようであれば、リラグリチドは1日1回の注射なので、翌日の注射量を、ぐいと減らしてみてください。翌日には解決していることでしょう。このように、GLP1製剤は、副作用のことを考えると、1日ごとに、投与量を調整しても、かまわない、という点がメリットとも言えます。