糖尿病治療薬:マンジャロの処方をご希望の患者様の方々へ

業界最高水準、保険診療にて処方。1か月に1回は通院、2週間後はオンライン診療。No1糖尿病専門医。Web診療。慶大医学部卒。

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糖尿病の新薬:マウンジャロ(mounjaro)に関係した学術論文や、トピックス、ニュースなどを、要約して掲載していきます。糖尿病患者様の皆様の、学習用素材として、ご利用ください。

序章 新薬が糖尿病の常識をくつがえす

序章 新薬が糖尿病の常識をくつがえす



 研究と治療という両面から、私は糖尿病と長いこと格闘してきたわけです。しかし、いまほど糖尿病の治療に対して希望と興奮を感じるようなことは、これまでにありませんでした。
 なぜ、それほど興奮しているのかというと、次のようなことを患者さんに言うことができるようになってきたからです。


「真の意味で糖尿病を治療する、新しい薬が使われ始めました!」
「この新薬は、いままでの治療につきものだった数々の問題をクリアしています!」
「そう遠くない将来、糖尿病治療に革命的な変化が確実に起きます!」


 医療や科学の世界には「パラダイム」という言葉があります。「一時代を支配する考え方の枠組み」などという意味があります。その分野に携わる誰もが「それは当然のこととして」といった感覚で受けとめている雰囲気のことで、かんたんに言えば「常識」と似ているかもしれません。
 これまでの糖尿病の医学や医療の世界には、「糖尿病は不治の病である」というパラダイムがありました。これは、本編で詳しくお話しする「高血糖の記憶」という体のしくみと関係しています。糖尿病かどうかの判断基準となる値を努力して下げても「高血糖の記憶」が残ってしまい、結局は糖尿病による合併症が起きてしまうということがありました。いわば、洋服に付いた染みを、いくら洗い落とそうとしても取れないようなものです。それを、私ども医療従事者も、糖尿病と闘っている患者さんも「それは当然のこととして」と、なかば諦めていたのです。
 しかし、この本で紹介する新しい薬を使えば、「高血糖の記憶」
という染みを効果的に消せることが、徐々にわかってきました。こうなると、糖尿病治療のパラダイムも変わってきます。「糖尿病は不治の病である」というパラダイムが、「糖尿病は治療できる病気である」という新しいパラダイムに移ってくるわけです。
 新しいパラダイムの下では、「自分は、ここまで値を下げることを目指そう」と、患者さんが目指す状態を自らで選ぶこともできるようになります。あるいは、これまでの糖尿病の治療に欠かせなかった運動や食事の取り組みも、「“主”は薬による治療。“従”として運動療法と食事療法」といったように、位置付けが変わってくることになります。


 糖尿病のパラダイムを変える“主役”は何でしょう。それは、この本の書名にもある「インクレチン」というホルモンです。
 ホルモンとは、体の中の器官でつくり出される、ごくごくわずかな量の物質のことです。体のある器官でつくり出されたホルモンは、血管などを通って別の体の部分までたどり着きます。ホルモンはたどり着いた先で、体に何らかの働きかけをします。
 本編で詳しくお話ししますが、インクレチンは小腸などの消化管でつくられるホルモンです。実は、20世紀の前半から、すでに体の中に存在することは知られており、その働きもわかっていました。ここではまだ詳しく触れませんが、「膵臓からのインスリンというホルモンの分泌を促す」という効果がインクレチンにはあったのです。
 その後、インクレチンにもいくつかの種類があることがわかってきました。そして1980年代になると、そのうちの一種類の物質が、とても不思議で魅力的な効果を持っていることがわかったのです。
 そのインクレチンの不思議で魅力的な効果を基に、開発されたのがこの本で紹介する、パラダイムを変える力を持った新薬なのです。
 私は、糖尿病の治療とともに、糖尿病のしくみを研究する仕事にも長らく関わってきました。そうした関係から、製薬会社が開発した薬が世の中に広く出まわる前に、「効き目があるのかどうか」または「使っても安全かどうか」といったことを、患者さんの協力のうえで試験する仕事にも携わってきました。試験の最終段階として、限られた数の患者さんに実際に薬を使ってもらい、「やはり効き目もあるし、安全性も問題ない」と確かめられれば、製薬会社は国から「その薬は製造と販売をしてよろしい」と承認を受けることになります。
 今回、私は、このインクレチンを基にした新しい糖尿病の薬を、製薬会社からの依頼を受けて試験することになったのです。そして、外来でいらっしゃる患者さんに協力してもらい、試験をしました(これを治験と呼びます)。その結果、「真の意味で糖尿病を治療できる時代が始まった」という実感を得たというわけです。


朝日新聞出版、書籍 こんなによくなる!糖尿病 驚きの「インクレチン」新薬効果 
2010年初版、著者:鈴木吉彦、10から13ページより、引用転載」

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