カナグルを薦める医師には要注意
糖尿病の先端治療薬、SGLT2阻害剤は、糖尿病治療薬としては、すごく、よい薬剤です。血糖も落とし、その時に同時に体重も減ります。SGLT2阻害剤の中でも、体重が減りやすいのは、カナグル、とされています。それは、SGLT2に対する選択性が低く、SGLT1も阻害するからだろうという理由からです。
ただし、実際には、どんなSGLT2阻害剤であったとしても、baselineのHbA1cが、7%以上でないと効きにくくなります。もともと、HbA1cが7%以上であれば、血糖コントロールも改善し体重も減るという薬剤だからです。
実際、HbA1cが6%台になってくると、とたんに血糖コントロールには寄与するけれど、体重は止まる人が増えてきます。逆に、体重が増えてきてしまってしょうがない、という方も、多くおられます。
機序は単純で、血糖コントロールがよくなってくると、尿糖がでることは、エネルギーの排出だけの薬剤効果になります。それが単なる食欲中枢にフィードバックし、ただの「腹がへる薬の刺激」にしか、ならないことが、よく、あるからです。つまり、高血糖がある糖尿病患者では痩せ薬になるが、正常血糖の患者では、カナグルは「太り薬」になる可能性が高いのです。
本当に、もし「カナグルをダイエット薬として処方している医師」がいたとしたのなら、それは、GLP1治療の臨床経験が少ない医師達だろうと考えています。