Obesity Paradox とは?
2020年、直近の、第65回日本透析医学会(11月2〜24日、ウェブ開催)で、血液透析(HD)患者にGLP-1受容体作動薬を投与した症例を報告されました。そこでは、糖尿病患者の透析症例の5.4%に、GLP1製剤が使用されていたとのことです。
ところが、透析患者になると、太っているほうがよい、という状況がうまれます。BMIが高いほど健康なのです。透析をうけると体力は消耗します。ですから、体重減少は、脂肪量や筋肉量の減少に直結しやすく、むしろ、太っているほうが生活の質(QOL)や死亡率などは維持できるということです。これを、obesity paradoxと言います。
幸い、私たちのGLP1ダイエット外来患者さんに、透析中の方はおられません。ですが、こういう問診をしっかりしておかないと、GLP1製剤の投薬は「逆効果」、パラドックスになりえる、という事が示されています。
最近、経口GLP1製剤を、ダイエット薬として販売しているクリニックもありますが、この発表では、経口GLP1製剤は、「体重を減らしにくいGLP1製剤だからよい」という、ダイエット効果とは、真逆の発表がだされていました。体重は減るばかりがよい、とは限らないという事です。よって内科的な問診は、特にGLP1ダイエット外来の場合には重要となります。