Dual + Dual => Triple
最近は、Dual Hormone Therapy (2つのホルモン製剤)を合剤にして、両者の長所を合わせ、より強い薬剤にする、両者の欠点部分は、どちらかが補う、そういう発想の糖尿病治療薬、抗肥満治療薬の開発が主流となってきました。
もちろん、当分の間は、GLP1が中心となって、GLP1のSingle Therapyが主体でしょう。その1日製剤、1週間製剤、経口製剤などの比較がなされる時代が、あと2年は続くと思われます。ですが、3年後には、がらりと様相が変わるかもしれません。
最初のDualの候補は
「GIP/GLP1受容体作動薬」です。
GIP ==> 血糖値をさげます。インスリン感受性を高めるという報告もあります。
GLP1 ==> 食欲中枢に作用し満腹感を起こします。胃に作用し、胃排出速度を遅くして、食後高血糖をおさえ、食べたら、すぐに胃がはって食べられなくなります。
第2のDualの候補は
「Glucagon/GLP1受容体作動薬」です。
Glucagon --> 脂肪の分解を助けます。肝臓からの糖新生を高めます。インスリンとは拮抗した作用をもちます。注射をすると、少なからず、吐き気などが起こります。
この2剤のラインアップが、開発中ですが、もし、この2剤を同時に注射したら、
GIP/Glucagon/GLP1受容体作動薬、という、Tripleな作用を体内に起こすことができます。現在、Triple 受容体作動薬は、いまだ動物実験段階で、人にむけて開発されるのかは未知数ですが、しかし、上記の2剤を重ね合わせれば、Triple製剤ができてしまうので、人への開発は進まないかもしれません。
「GIP/GLP1受容体作動薬」は「血糖値をさげる」「体重を落とす」
「Glucagon/GLP1受容体作動薬」は「体重を落とす」「脂肪肝をなくす」
という適応をもつことでしょう。ですから、この2剤を同時に使えば、
「体重を落とす」がダブルの強さになり、
かつ、「血糖値を落とす」「脂肪肝をなくす」という治療法ができます。
つまり「体重を落とす」ほうの、優先順位が、血糖値をさげるよりも高くなる可能性があります。そうなると、糖尿病専門医の仕事は、まず「体重を落としてから、血糖値をさげる」という順番になるかもしれません。
「ダイエット」市場は、この、Dual製剤が、2剤、でそろったら、3つの作用が重なり合い、3つの頭をもつドラゴンのごとく、大きな変貌を遂げるかもしれません。