睡眠時無呼吸症候群発症の要因は肥満にある!
糖尿病療養指導士の臨床検査技師です。今回は、睡眠時無呼吸症候群と肥満の関係についてお話します。
睡眠時無呼吸症候群とは、英語ではSleep Apnea Syndrome(SAS):サスと呼ばれ、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。
10秒以上呼吸が止まってしまう無呼吸が、7時間の睡眠の中で30回以上、もしくは1時間当たり5回以上あれば、この病気の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群があると、日中の強い眠気により集中力が低下したり、低酸素状態になるため心臓に負荷がかかり、高血圧・糖尿病・心筋梗塞・脳卒中などを起こしやすくなり、最悪の場合は突然死につながります。
睡眠時無呼吸症候群は2つに分けられます。
① 閉塞性睡眠時無呼吸(以下OSA)
首や喉の脂肪や扁桃肥大などで、上気道のスペースが狭くなり(閉塞)呼吸が止まってしまう。
② 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
脳から指令が出なくなり、呼吸運動そのものが停止してしまう。
ほとんどが①の閉塞性に該当します。そしてこのOSAを引き起こす最大の要因は肥満なのです。
BMIが32.3前後になると、AHI≧15は約6倍以上になります。また、AHI≧15の閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち、58%はBMI≧25とされています。
4年間で体重が10%増加するとAHIが32%増加し、AHI≧15になる率が6倍となってしまいます。このように肥満があると症状が重症化してしまいます。
AHIとはOSAの重症度分類に使用され、一晩の睡眠1時間あたりで、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)と、完全に呼吸が止まっていないが呼吸が浅くなる状態(低呼吸)を合わせた回数のことです。AHIが20以上で、日中の眠気などを自覚する場合、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)という治療が必要となります。
OSAの重症度分類
軽症 5≦ AHI <15
中等症 15≦ AHI <30
重症 AHI ≧30
肥満が認められたOSAの患者様にとって、減量することでAHIが低下することは明らかであり、有効な治療のひとつとして積極的に行う必要があります。
糖尿病療養指導士 臨床検査技師 著
出典:肥満症診療ガイドライン2016
編集 日本肥満学会
ライフサイエンス出版