小児ー思春期の肥満糖尿病へのGLP1治療
欧州糖尿病学会、バルセロナ、2019からのレポートです。
Efficacy and Safety of liraglutide vs Placebo in children and adolescents with type 2diabetes; the ellipse randomised trial results
T Barrett et al.
要点は以下のとおり。ただ、興味深いのは、最後の段落に赤い文字で記載しました。
目的;海外では小児や思春期の肥満糖尿病治療として、認知されれたのは、メトフォルミン とインスリン治療だけでした。ですが、ビクトーザは大丈夫なのかを検証してみよう。
方法; 10歳から17歳までの対象者に2重盲検法にて、1対1、に割り付け、134名の対象に対して、実薬群66名、プラセボ群66名。26週間と52週間の観察試験を行った。62%が女性だった。(おそらく、痩せれるということが女性を引きつけたのでしょう。)
結果; 図にあるように、HbA1cは、52週後には、実薬群で低下し、プラセボ群で増加していた。黒が実薬。白がプラセボ。縦軸はHbA1cの変化です。
消化器症状の副作用は、実薬群で多かったそうです。
結論; ビクトーザ治療は、10歳から17歳の肥満2型糖尿病においても、安全に利用できる薬剤である。
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私の考察
この臨床研究では、体重のことについての一切のコメントがありません。確かに、この時期は体が大きくなり、体重も増えやすい時期です。この時期に、ダイエットをして、いいの?という問題は難しい問題になります。
とは言いながら、参加者の3分の2は女性でした。ですから、18歳以下であっても、痩せてきれいにみられたい、という意識は女性のほうが強いようです。
また、実薬群のHbA1c低下は、7.87%から7.13%でした。この水準は、高血糖から正常血糖値に近づくレベルで、高血糖によって痩せていた状態が、解除され、尿糖が減ることにより、体重が増えることもあるレベルです。だから体重の議論はなかった模様です。
糖尿病において、ビクトーザを用いる時は、血糖コントロールレベルの初期の数値によって、必ずしも、「やせるホルモン」にはなりません。あくまで、血糖をさげる食欲ホルモンであり、糖尿病の場合には、食欲がなくなって血糖がさがっても、太ることもありえます。
こういう背景をしっていれば、GLP1は「痩せるホルモン」と海外では言われていますというPRする行為は、シンプルに代謝内分泌を知らない、美容外科達の無知、認識不足、医師としての経験不足だと言うしか、内科医の私には、思えません。ただ美容外科医たちは、糖尿病の肥満は対象外にしているようです。GLP1の専門といいながら、そこまでの、プロフェッショナルな腕はないのでしょう。
私たちは、糖尿病肥満を取り扱うつもりです。16歳以上であれば、内科医の範疇なので、思春期でも、大丈夫です。
サクセンダ3.0mgを注射することで、かつて、HbA1cが8%前後だった患者さんが、6.0%だったり、5.7%だったりする症例がでてきました。家族に糖尿病が多くて、将来、糖尿病になることが心配とおっしゃられていた患者さんが、HbA1cが、5.7%になれば、まず将来、糖尿病になる確率は顕著に減少します。そういう運命を背負っている若い人たち、16歳から30歳くらいにかけての肥満で困っている若い人たちを、助けたい、未来を明るくしたい、そういう発想をするのが、内科医です。
サイトは、未だ、構築中です。お申し込みは、うけつけます。いつものとおり、メールかフリーダイヤルまで、ご連絡ください。当院には、糖尿病療養指導士が4名、常勤しております。糖尿病療養指導士から、お返事させていただくことを原則にしたいと考えております。
構築中のサイト名は、以下のサイトですが、国外出張、国内出張が多く多忙すぎて、まだ未完成です。ご容赦ください。
糖尿病の発症を予防するGLP1ダイエット| HDC Atlas クリニック