元々は、痩せないホルモン !?ホントです!!
GLP1が糖尿病の治療薬として注目されたのは、食事をすると、よりインスリンが分泌され、点滴で消化管から同じ血糖曲線になるはずの状態にした時より、なぜ、インスリンが、より多く分泌されるのか、という疑問を解決するところから、話は始まります。
このように、静脈からブドウ糖を入れるより、口から食物をいれると、より多くのインスリンが分泌されます。その理由が、小腸にあるGLP1とGIPという、2つのホルモン、これらを総称して、インクレチンホルモンがあることで、こうした現象が産まれることがわかったわけです。
さて、GLP-1の作用機序は、血糖値をさげ、インスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑制することです。下図のようになります。
インスリンが増えると、脂肪合成は高まり、太ります。
グルカゴンが減ると、脂肪分解が弱まり、やはり、太ります。
ですから、単なる、GLP1を食事に合わせた分だけ増やす体内のGLP1の役割は、「痩せる」ということが目的ではなく、血糖値をさげ、他の目的に、エネルギーを使う、という作用だったと考えられていました。
ここだけを、シンプルに考えると、「GLP1」イコール「痩せるホルモン」とは、代謝学的には、絶対に言えない、というのが、おわかりいただけるかと思います。
実際、ビクトーザを糖尿病患者さんに行った日本での第三相臨床試験では、ビクトーザの1日0.9mgでは、体重は減りません。常にニュートラル、つまり、増えもせず、減りもせず、だから安心、と、そうとらえられていたわけです。
本来は、「血糖応答性」に作用する、「血糖降下ホルモン」である、、というのが、一般の糖尿病臨床では常識であったわけでした。