ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(35)
5 糖尿病の部下をもつ上司へ(ガリクソンから)
もしあなたの部下に糖尿病の人がいたら、こう言ってほしいのです。『糖尿病のことなんて、僕は気にしないよ。だけど君自身が自分の体をきちんとコントロールするのは、糖尿病をもった人間としての義務だよね』と。
そして、もしなんらかの理由があって、彼がある仕事を完全に成し遂げることができなかった時は、彼の話をきちんと聞いてあげてほしいと思います。ただ単に、糖尿病だ、ということだけで彼を見放してしまってはいけないのです。
それから上司として確実に知っておいて欲しいのは、糖尿病があってもきちんと仕事がこなせるはずであることで、もし糖尿病が仕事のさまたげになる時は、上司はその部下に声をかけ、よく事情を聞いてあげて欲しいのです。
そして、もし部下が良い仕事をして、すべてが順調ならば、上司は糖尿病については全く気にして欲しくないのです。むしろ気にされることで、彼が遠慮していることもあるのだし、全く普通に接してくれることが彼らにとっては最もよいことなのです。
注:糖尿病者の就職については次第に改善されつつありますが、なお問題は残されています。現実には糖尿病者が「新規に」職場に採用されることを望む場合には、不利な立場に立たされることが多いようです。時には大学、高校の入学ですら、そのような傾向のみられることもあります。
こうした社会の態度は、糖尿病の青年たちに将来に対する希望を失わせ、大きな精神的負担を与え、病気のコントロールを乱す原因となります。
最近では、このような問題を是正していこうという大きなキャンペーンが、世界的に推進されつつあります。そして今後は日本でも、ガリクソン選手のような存在が続々と出現していけば、自然と社会の意識も変わってくることでしょう。
ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの
ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著)
医歯薬出版株式会社
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