ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(32)
2 糖尿病のお子さんがいるご両親へ(ガリクソンから)
まずこの病気のことをよくわかってあげることが必要です。そうでないと、子供さんは誰も自分のことを考えてくれないと、孤独になります。もし、ご両親が理解を示してあげれば、その子は一人ぼっちではなくなります。誰かが僕のことを気づかってくれている、僕の気持ちをわかってくれている、と感じるのです。それから両親は、子供にインスリン注射をすることや、どう食事をするのかということを教えてあげるべきです。そして、彼らを十分に教育してあげて、自分のことは自分でできるというところまで、親に頼らないでも何でもできる、というところまでもってきてあげるべきです。
両親たちは時に糖尿病の子供たちを、ひどく甘やかしすぎることがあります。彼らに常に気をつかい、自由にさせないため、その子供は失敗もしないけど、思い切ったこともしないので、糖尿病によって起こる体調の変化を、自分で体験して知る機会を失ってしまいます。
ただ子供がどうするかを見ているだけの親ではいけないと思います。つまり、両親としては、子供が自分自身で何をしたいのかを見極め、自分で自分の血糖値をはかり、インスリンも自分で注射し、どんな時でも両親に頼ることなく、糖尿病をコントロールできるようにしてあげるべきなのです。とはいっても、それは難しいことかもしれません。彼らの責任に任せてしまうことに、両親としては罪の意識を感じてしまうかもしれません。
でも、子供たちのとくに食事などについては、親として自分なりによく考えて作っていれば、その姿を子供が見て、すなおに受け止め、自分自身でそれをやってみようとするはずです。そうしてじぶんで自立する時期が必ず来ると、親は信じていればよいのです。
いったんその子が自分自身でコントロールできるようになれば、彼らは両親だけではなく、他人にも頼ることはなくなり、もっと楽しい人生が過ごせるのです。社会に出てもたくさんの人たちと、とても気楽に知り合えることができるのです。
注:いつでもあわてず騒がず、強い親であることが、子供のためになることを、両親は知っておくべきです。時には、高血糖があっても、自分でそれを治療できるかどうかやらせてみる勇気も必要です。この時のインスリンの調節のしかたについては、ジョスリン糖尿病センターの『糖尿病の生活ガイド』(医歯薬出版)などを参考にしてください。
ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの
ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著)
医歯薬出版株式会社
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