ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(23)
ガリーVSドクタースズキ
○ 糖尿病は自分でコントロールするもの ○
Dr.鈴木 ところで、血糖のコントロールはどうしているんだい。
ガリー だいたい自分でできている。できるだけ正常に近いようにコントロールできてるし、でも、困ったときには、専門的なアドバイスを受けたほうがいいとはおもっているけどね。
Dr.鈴木 困った時はいつでも相談してよ。
ガリー (笑って)ありがとう。でも今は調子がいいし困ってないよ。
Dr.鈴木 全く不安なさそうだね。いったい、君のヘモグロビンA1cはどのくらいなの。
ガリー ええと、日本に来る前に診断書を書いてもらった時には、7%台といわれたたけど。よいってほめられたよ。
Dr.鈴木 7%っていったら、すばらしいじゃないか。すごいなあ。
ガリー 僕は自分のコントロールには自信があるし、そういったデータは普段の努力の結果なんだから、きちんとやっている自信があれば気にならないさ。
Dr.鈴木 そのとおり。この話を多くの人が参考にしてくれればよいと思う。結果ばかり気にしているけれど、全然実行していない人たちに聞かせて、君の爪のアカでも煎じて飲ませたいよ。
ガリー そんなにおだてないでくれよ。僕は普通にやってるだけなんだから。
Dr.鈴木 ビートローズ監督が言ってたけど、君は黙って仕事をするタイプで、そして、それが若い選手たちには一番のお手本だって。野球でも、糖尿病でも君は同じ態度なんだね。
ガリー 僕は派手なことより、地道なことのほうが好きなだけさ。それに手を抜くのは自分の信条に反する、ということかな。
Dr.鈴木 それが普通の人間にはできないのだよ。
ガリー いや、問題は考え方しだい、だと思うけどね。僕だって本当に普通の人間さ。でも理性があれば自分でコントロールできるはずと信じているよ。自分は糖尿病をコントロールしているけれど、糖尿病に自分がコントロールされてはいけないのさ。
Dr.鈴木 ところで、ピッチングの前の血糖値は180mg/dlくらいにしているって聞いたけれど、180というのは自分の経験からきめたのかい。
ガリー そう、経験から。試合中に低血糖を起こさないためにね。ちょっと高いからお医者さんは嫌がるかもしれないけど。
Dr.鈴木 そんなことはないよ。それが大事なんだ。糖尿病の場合、食事と運動とインスリンの三つの影響をシンクロさせなければいけないわけだし、なかなか理屈では割り切れないことが多いんだ。だから、君のように自分で研究して、その経験から自分にあったやり方を見つけるのは一番大事なことなんだ。
ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの
ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著)
医歯薬出版株式会社
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