サクセンダが効きにくいタイプとは?
サクセンダ治療が効果を示さないタイプには、2つの可能性が考えられます。
1)もともと、胃排泄速度が亢進していて、治療抵抗性の場合
以下には、2型糖尿病患者さんの胃排泄速度を示した図ですが、DM1群(比較的、軽症な糖尿病群)では、胃排泄速度が亢進していることがわかります。こういう場合は、糖尿病予備群あるいは境界型糖尿病(IGT)の方に、多いだろうと推測されます。図に示すように、明らかに胃排出速度が亢進している人が多いようです。
こういう場合、サクセンダを投与すると、胃排泄速度が亢進して、それが、ちょうどよく「抑制される」場合には、サクセンダは「効きやすい」と自覚されるでしょう。ですが、かりに、サクセンダ3.0mgまで増量しても、胃排出速度が低下しない、すごく「胃の運動が丈夫すぎる」場合には、サクセンダ3.0mgまで増量しても、「効果は実感しにくい」かもしれません。全く「効果がないようであれば、サクセンダの中止基準に該当するかどうか」を医師に、ご相談ください。
2)自律神経障害が基本にあった場合
もともと胃排出速度が低下していた場合、本来、そういう場合には、「痩せている」状態のほうが多いはずです。胃下垂をもつ人がやせているのは、その典型例です。ですが、必ずしも、そういうわけではなく、例えば、やや、うつ状態にあったり、背景に「自律神経失調症」のような病気がある場合には、もともと胃排泄速度が低下している場合があります。あるいは「心療内科」などから処方された薬剤の中に、自律神経作動薬があれば、それによって、本来の胃排出速度が低下している場合があります。そういう場合にも、もともと、他の治療法で、胃排出速度が低下しているのですから、サクセンダを注射しても、効果を示しにくいという場合がありうるわけです。
このような状態にある場合においても、サクセンダ3.0mgまで増量しても、「効果は実感しにくい」かもしれません。全く「効果がないようであれば、サクセンダの中止基準に該当するかどうか」を医師に、ご相談ください。
既に論文で公開しています。
糖尿病がある方においては、なおさら、この適応は重要となります。きちんと、GLP1ダイエットの「効きやすいタイプ」と「効きにくいタイプ」を、作用機序から把握している内科医師に、本来であれば、GLP1ダイエット治療はうけるべき、と申し上げたいのは、こうした科学的エビデンスを、過去に、しっかり論文に発表しているからなのです。
ちなみに、日本の医師で、日本の学者で、日本初で胃排出速度を定量的に測定して、軽症例と、重症例で比較した医師は、私が最初です。また、以下の図をみてもらえばおわかりのように、若くなればなるほど、胃排出速度が亢進しています。
30〜40歳代の方が、GLP1ダイエットを希望される背景
30〜40歳代のほうが、50〜60歳代より、胃排出速度が亢進しています。だから、当院へ、お申し込みされる女性においても、30〜40歳代の女性の方が多い、というのは、こうして科学的に、証明してありました。必要であれば、糖尿病学会のホームページから、私の論文のPDFがダウンロードできます。ぜひ、ご一読ください。