糖質制限や断食は、何故、リバウンドしやすい?
ここに示した論文は、2006年に発表された論文で仮説です。炭水化物を制限したダイエットで、空腹を継続していると、特殊なケトン体がたまり、一時的な幸福感を自覚するので、その時は、ダイエットに成功しやすい、それは何故なのか、を推察した内容です。
著者のBrown博士の考えでは、その裏側には、date raping drug (女性をデートに誘って、レイプするための薬剤)と類似の構造体をもった、多幸感をもたらす成分(γーhydroxybutyrate)が関与しているのだろう、という仮説です。
この学説は好きで良く引用します。
昔から宗教の世界では、様々な宗教の行事に「断食」という儀式があるのは、この生物学的な反応を利用して、幸福感を感じさせ、飢餓状態にある苦しみを忘れる事に、楽しみを覚えるからかもしれません。そして、どの宗教の指導者たちも、自分たちの信じる事が1番だと唱えます。断食にある状態では、(γーhydroxybutyrate)が増える事で多幸感にあるので、信者は教祖の話す事を信用しやすくなっています。
ただ、脳も、こういうγーhydroxybutyrateを、長くはブドウ糖の代用物質としては利用してはいけないのでしょう。途中で本物のブドウ糖がほしくなり、結局は、半年程度で我慢の限界がきて、リバウンドに走る、ということなら、納得できます。
糖質制限は、脂質制限より、減量しやすいが、すぐリバウンドする。
この現象を、サイエンスとして説明するには、
「糖質制限をすると、脂肪が分解して、γーhydroxybutyrateが血液中に増え、脳細胞へと到達し、それが、幸福感をもたらしている間は、ダイエットが続くが、γーhydroxybutyrateが、脂肪細胞から出尽くすか、あるいは、脳細胞自身が、γーhydroxybutyrateを、ブドウ糖の代用品として認めなくなったときに、無性に、空腹感が増し、リバウンドしてしまう」と考えれば、つじつまがあいます。
さて、、、
GLP1ダイエットで、美容系クリニックのサイトには、あたかも、GLP1が脂肪を分解する、という表現を使っているPR広告などの文節がありますが、それは、100%嘘です。
GLP1自体では、膵臓からインスリンを分泌し、分泌されたインスリンは脂肪を合成しやすくし、脂肪を分解しにくくし、ケトン体の合成を押さえる役割を果たします。ですから、糖質制限ダイエットのような、ケトン体、もしくは、γーHydroxybutyrateの放出を抑えるわけです。つまり、GLP1ダイエットを行っている間では、宗教上での信者のように、だまされやすい状態にはなりません。冷静沈着で、満足度が高い、脳の状態を維持できるのです。生活の質(QOL)に対する満足度も向上します。
だからこそ、GLP1ダイエットは、糖質制限ダイエットと比較すると、リバウンドを起こしにくいダイエットとして位置づけられるわけです。γーHydroxybutyrateなどの影響は、一切、関係が少ないからなのです。
逆に、アルツハイマー病にも、効くらしいと考えた研究者がいたくらいです。特に、GLP1/GIP/Glucagon受容体作動薬については、2019年の国際学会にて、発表がありました。