アメリカでは、1週間に1回の、糖尿病治療薬である、オゼンピックが発売されています。新「GLP-1」製剤です。
そこで、注意が必要なのは、「眼底出血」、「失明のリスク」が、増えること。。
特に、「かくれ糖尿病」とか、「糖尿病があることを自覚していない。」、「自分は単なる肥満だけ」だと、思っている人があぶない。やせ薬と思って、とびついたら、失明した、という事態になったら、大変なことです。眼底検査すらできない眼科的センスがない医師が、この医療行為を行ったら、訴訟されるかもしれません。ちなみに、私は眼底を読影できます。いつも眼底写真を患者さんに見せて、説明もしています。糖尿病専門医ですから。眼底検査計はフル稼働で、ナースが測ってます。もちろん、いわぶっちゃんも。
1週間に1回のGLP1製剤を使用する時には、当院では、今後、眼底検査をルーチンにする方針です。
また、「胆石」のリスクも、顕著だとされています。これはサクセンダとは同じ頻度ですので、さほど、心配いりません。
しかし、かなり、高価な薬(薬代が高い製剤)であるにもかかわらず、体重が10%以上低下するのは、13%しかいません。つまり、サクセンダは、30%近いのと比較して、1週間に1回のGLP1製剤で、極端に体重減少する確率は低いということです。(SUSTAIN-1試験)。
つまり、当然のごとく、「抗肥満作用」をもつGLP1製剤は、あくまで「サクセンダ」であって、1週間に1回のGLP1製剤は、過去の臨床試験から、体重減少作用は、「サクセンダ」よりも、弱いということが証明されています。だから、未承認なのでしょう。
重篤な副作用は、5.4%もでています。20人に1人に重篤な副作用がでています。これも、すごく怖いですよね。通常、「重篤」な副作用は、こんな高い頻度では、でないのが普通です。
胃腸障害は、38%前後と、サクセンダとは変わらないのですが、特に、注意を要するのは、セマグルチド0.5mg群で、精神障害が、6.3%と多く、プラセボは3.1%の2倍以上になっています。
精神障害が多い!! ==> とても心配です。
特に心配なのは、「自殺」でしょう。GLP1ダイエットは、家族や周囲に内緒で開始する方が多いので、もし、ご本人が「自殺をしてしまった」場合には、それを、知らなかった家族は、必ず、訴訟を起こしてくることでしょう。これを、もし医師が事前に説明しなくていたら、ご家族から訴訟をうけて、医師側が必ず負けると思います。ましてや、アメリカではGLP1が承認されているから安全だ、などと、嘘を話をしているとしたら、「詐欺」ということにも、なりかねない、悪徳業者とつるんだ医師ということになるでしょう。本来なら、サクセンダというGLP1製剤が承認されているだけで、他のGLP1製剤は未承認なのに、あたかも、GLP1は「やせホルモン」で、糖尿病でも使用されているから安心だ、としか、糖尿病専門医以外の医師たちは、説明していないのではないかと懸念します。
(注:時々、やせるはずもない、1週間1回製剤のトルリシティを、堂々と、「やせるホルモン」として処方している、糖尿病専門医ではない医師がいた、という話を聞いたりしてます。きわめて安価な価格に設定していたりしますが、無駄な治療です。)
下痢も多く、嘔吐をする確率は10.8から12.5%と、高率です。
胆嚢疾患においては、プラセボがゼロに対し、2.3%と高く、胆石についてのチェックは、ほぼ内科であれば、私のクリニックでは、かならず、行います。
また、「新生物」についても、3.9%から3.1%と多く、プラセボはゼロですから、もし、これが、「悪性」「新生物」だとすると、つまり「癌」だとすると、大変なことで、それについての考察は、まだ、より多くの人口で検討されていません。
最終的には、安全性は大丈夫、とされていますが、こういうことに対して、日本でノボノルディスク社から、きちんと説明をうけている医師は、日本では、いまだ、私を含めて、多くの糖尿病専門医でもおらず、ましては、皮膚科医師や美容外科医師は、説明をうけておらないでしょう。
もともと、抗肥満薬ではなく、2型糖尿病の薬なのですから。つまり、糖尿病専門医、あるいは、内科医が診察していれば安心であるという前提のもとで、「安全性」は大丈夫と言われているだけです。こうした薬の「治験」は、原則、糖尿病専門医のもとで、行われているから、そういう前提で、安全といわれているわけです。
逆に言えば、こういう知識を知らない糖尿病専門医以外が診察している場合には、安全性が担保されているとはいえないということです。
ですが、体重が10%以上下がる率が、「サクセンダ」より、低いという数値をみただけで、この1週間に1回のGLP1製剤は、抗肥満作用は「サクセンダ」より、弱いと言えるのかもしれません。リスクも多く、「抗肥満作用」は弱いわけですから、効果のわりには値段も高く、一般人向けのダイエット薬とするには、数年して、データがでて、すべての治験が終わるまでは、とても危険な医療行為であると、私は考えております。
ノボノルディスク社は、美容外科医や皮膚科医師には、一切、情報提供はしないとのことです。そういう医師たちと連帯責任をとらされては、製薬メーカーとして、たまったものではない、という見解なのだと思います。
製薬メーカーが、糖尿病専門医だけに、情報提供なり、しっかりと支援できる「抗肥満薬」は、今は、「サクセンダ」だけ、、というのは、こういう事情があるからなのです。