痩せるGLP1と痩せないGLP1を分子量で解説
一般に、「分子量が小さいGLP1製剤」と、大きい「GLP1製剤」があります。
分子量が、小さいGLP1受容体作動薬は、
バイエッタ(エクセナチド) 4kDa
リキスミア 5kDa
リラグリチド (ビクトーザ、サクセンダ) 4kDa
セマグルタイド 4kDa
です。Daは、ダルトン、と呼びます。
これに対し分子量が大きいGLP1受容体作動薬は、
トルリシティ ( Dulaglutide )は、60 kDa
アルビグルチド は、73 kDa
の二つです。
日本では、トルリシティが、体重が減りにくいGLP1製剤として知られています。
こうやって、並べてみてみると食欲中枢に強く作用するのは分子量が小さいGLP1製剤のようです。もしかしたら、分子量が小さいほうが脳血管関門(Blood brain barrier )を通過して食欲中枢に抑制シグナルを送りやすいのかもしれません。
脳の血管自体には、血管表面には、GLP1受容体作動薬の受容体が存在しない、ことは、広く知られています。であるならば、血管からGLP1が脳内の組織にもれでるのか、それとも、そうでない機序があって、シグナル伝達を通じて食欲抑制をするのか、するのか、は、本当のところ糖尿病学者の中でも解っていないことがあるのです。
ですから、糖尿病学者はGLP1を「やせるホルモン」とは呼びません。
あくまで、血糖値をさげるホルモンであり、かつ、なぜやせるかについては、おのおのGLP1製剤によって、作用機序が異なり、どれもが「やせるホルモンである」とは言及できない、というのが当然なのです。
「アメリカではGLP1はやせるホルモンと言われてます」と唄っているサイトの表示は信用しないでください。素人医師のPR文句に過ぎません。