下剤でやせられる?宿便をとればやせる?
「 まちがいだらけのダイエット」の 連載
「宿便をとってやせよう」というダイエットは、様々な薬などを使って宿便を取ることを勧めているものです。
まちがいです
肥満とはあくまで「体についた脂肪が多すぎること」です。つまり、やせるということは、この余分な脂肪が減ることをさします。ですから、体内に少し水分が多くなったとしても、あるいは便秘で腸の中に便がたくさん溜まっていたとしても、それは太っていることではありません。それを減らしたとしてもやせたことにはなりませんし、また水が増えたり便が溜まったりすれば元に戻ります。
その間に、体重がせいぜい1kgほど減ったり増えたりを繰り返すだけです。それに、いつまでも下剤をかけて下痢の状態を続けていれば、栄養失調になってしまいます。腸も炎症を起こし、肛門の粘膜もただれて、痔にもなりやすくなります。ですから、下剤を使ったダイエットなどは邪道中の邪道です。
また、腸内にずっと宿ってしまって離れない便があるという論に基づき、「宿便がいろいろ悪い作用をするので、特殊な物質を飲んだり、毎日野菜炒めを食べたりして腸内の掃除をすることが、やせるためには必要だ」というものです。
しかし、宿便というのは医学用語ではありませんし、それにあたる「腸内にこびりついて取れない便」などは存在しないことが、大腸の中を実際に覗いてみることができるコロノスコープの開発などによって明らかになっています。
出典 まちがいだらけのダイエット
鈴木吉彦 著 (株) 保健同人社 発行