最初、美容系クリニックでお金を払いすぎた方へ
当院はGLP1ダイエットという医療サービスを開始して以来、1年も経ちますが、未だに検索エンジンの広告やバナー広告、ターゲット広告など一切、着手していないのに予約が埋まります。
その理由は、多くの美容系クリニックからの転院や乗り換えが多いからです。そして、その方達のほとんどは、「最初に先生のクリニックを見つけていれば」と仰られます。というのも、美容系クリニックでは、価格表示が曖昧なため、知らず知らずとGLP1の注射本数は少なめにさせられ、どんどん高い金額を要求され、気がついてみると3ヶ月コースで30万円以上も支払いながら、ビクトーザをわずか6本しか貰えてなかったというような人たちが極めて多いのです。
当院の価格表を見ると、「失敗した。騙された」と思われるらしいのです。悔しい!と思われるそうです。
しかし一方で、「でも、多少なりとも痩せたから、しょうがない。効果が無かったわけじゃないから、悪口をいうのはやめておこう」と心理的な「泣き寝入り」をさせられてしまった患者さんたちが多いようです。
ただ、ここには美容系クリニックの「計算」が潜んでいるという事に気がついておられる方は少ないのではないかと。つまり、GLP1ダイエットの場合には、例えば、ビクトーザの少量投薬から開始しても、金額が高ければ、ほとんど誰もが、2,3kgくらい、時には4,5kgの体重減少を経験する事があります。
それは、食欲が低下する、という実感を少し覚えただけで、劇的に、太っていた自分にストップがかかるからです。まして美容系クリニックで、大枚な金銭を支払ってしまうと、「取り戻そう」という心理が働き、最初だけは「一生懸命」に努力します。
以下がGLP1ダイエットの減量曲線なのですが、この中の最初の部分に注目してみてください。
つまり、ここです。
この部分は何を意味するかというと、美容系クリニックから処方される時のように、「GLP1は痩せるホルモンですよ。注射したら痩せますから」というプラセボ効果を与えあれるだけで、2週間で、1.5%のダイエットには成功してしまうということです。そこに、ビクトーザが加わり、投薬量がいいかげんであったとしても、4%の減量には、当初は成功してしまうわけです。
そのため、「お金を払いすぎた」という事に気がついた時には、もう「美容系クリニック」には異議申しだてを言えない、そういう構図になっています。美容系クリニックは、その患者心理をうまく利用し、当初の金額を「かなり高い金額にしたほうが、ダイエットは成功しやすいし、GLP1ダイエットでは、クレームが来ない」と考えているはずです。商売上手と言えば上手です。
それで利益が得た分、どんどんと広告代に回し露出度を高め、「新規顧客」をとろうとしています。
こういうトリックにはまったかたは、それでも「体重が減ったからクレームは言えないし、勉強代だと思って断念するしかない」、と、そう考えておられるようです。
でも、私は「内科医」ですから、どうしても、そういう美容系クリニックのような発想ができません。なぜなら、特に糖尿病のような慢性疾患を診ているものですから、「新規顧客」を増やすというより、「高い評判を維持し、かつ、患者さんたちを騙さない、信用していただく」そのほうが、よほど大切だと考えているからです。
私のところにも「新規顧客を、なぜ増やそうとしないんですか?」という助言をしてくれる経営コンサルタントが、沢山、います。ですが内科医の私の哲学としては、説明も十分にしないが、多額の利益だけを追求し、GLP1ダイエットの初期段階の効果だけを利用して、「当院の成績は優れている」と豪語している美容系クリニックとは「同種同類」の医師とは見られたくはないという意識があります。
ダイエットは、長期戦で考えるべきものです。
最初、美容系クリニックで、お茶やサプリを渡されたり、ビタミンや食物繊維を送りつけられたりしたかたも多いようですが、それらは、まったく不要なもので、原著論文であるN Eng J Med には、全くの記載がない併用療法です。
ですから、当初、美容系クリニックでお金をなくしたけれど、しかたがない、と断念している方がたには、同じような被害をうける人が少しでも減るようにと、匿名でもいいので、なぜ美容系クリニックのGLP1ダイエットに、そんなに支出をしてしまったか、の内情を世の中に拡散されたほうがよろしいかと考えます。