食欲関係なく、痩せるホルモン。Glucagon Analogue
GLP1ダイエットは、食欲ホルモン(Appetite hormone)であるGLP1を、生理的濃度の8倍から10倍以上に保持することで、食欲を低下させ、ダイエットにつながるホルモンです。リラグルチド、セマグルチドなどは、食欲低下を介して体重を減少させます。
ところが動物実験レベルでは、食欲に依存することなく、ただただ注射をすれば、それだけで痩せる、という、真の意味の「痩せるホルモン」も研究されています。それが、グルカゴン受容体を刺激するホルモン製剤であり、今の開発薬品名は、HM15136。韓国の製薬企業が研究している薬剤で、やはり欧州糖尿病学会(2019,バルセロナ)で論文の発表がありました。
Potent weight loss effects and mechanism of a novel long-acting glucagon analogue, HM15136, in animal models. J. Lee et al. Republic of Korea. EASD, 781, 2019
結論だけ述べると、この研究では、リラグルチドやセマグルチドと比較しても、体重減少(body weight loss. BWL)は顕著に認められました。 対象は、食生活によって肥満にさせられたマウスでした。
この薬剤により、リラグルチド群は体重減少が、−17.8%だったのに比べ、新薬群(HM15136)では、- 24.8% と、新薬群により顕著なダイエット効果を認めました。しかも、たった4週間で。です。脂肪細胞に直接、作用していることも検証されました。エネルギー消費がより高い事も実証されています。この4週間に限ってだけみれば、血糖の悪化やHbA1cの変動も認めなかったとのこと。
結論としては、こうした新薬の動物実験の知見をもとに、将来、人においても、抗肥満治療薬になる方法を提案していく方針だそうです。その場合には、グルカゴンは、長期にわたれば、高血糖を誘発し、糖尿病を誘発しかねないので、血糖値のモニターが必要になることでしょう。Apple Watch 5 に、血糖モニターが不随していなかったのは極めて残念なことになるわけです。
ただ、こういう新薬がでてきたら、助かるのは、GLP1ダイエットで停滞期になった時、かつ、GLP1ダイエットで血糖値は十分に低下している場合で、体重の減りが止まった時での、揺さぶり作戦ができる、という点かもしれません。
GlP1ダイエットでは、ある期間、経過すると、体重が横ばいになりやすいのですが、それを、停滞期と考え挫折してしまうことも多いのです。そういう時、いわぶっちゃんが書いているように、イライラし、体重計を蹴飛ばしたくなるものです。
そういう時、こうしたグルカゴン受容体刺激薬を併用すれば、イライラは、すぐさま解消することでしょう。応用範囲は、かなり広いだろう、、そう考えられます。まして、糖尿病がない患者さんにおいては、なおさらです。
そして、かつてであれば、BGC(Blood Glucose Cotrol)つまり、血糖コントロールを中心課題としてあるべきだった国際レベルの学会で、BGCよりBWLを中心に研究が進められ始めた、という点も、現代の潮流を映し出しているのかもしれません。
注射するだけで、、食欲とは関係なく、、痩せるホルモン。。
現代の日本で、多くの美容系クリニック達が広告宣伝している、楽して痩せるホルモン、という表現は、この新薬であれば、ぴったし当てはまるのかもしれません。人の研究まで至れば、いっきに、火を放つことでしょう。