注射するだけで痩せるダイエット薬、本格発動。
注射しただけで痩せる、痩せる注射、医学的に痩せることを期待する注射
こうした実験が、すでに、発表されてます。血糖は少し上がるが、すぐ正常になるので、大丈夫、そんな結果がでている新薬です。その名は、HM15136.
まだ動物実験でしかありませんが、欧州糖尿病学会、P767で、発表されました。バルセロナ、2019年の発表です。
タイトルは、
Sustained Glucagon effect on blood glucose and improvements of insulin resistance mediated by a novel long-acting analogue, HM15136, in animal models.
S. Lee. et al.
GLP1ダイエットではなく、1週間に1回の、グルカゴン受容体作動薬なので、グルカゴンダイエットと、以下には、呼びます。ここでは、GLP1は関係ありません。
目標は血糖コントロールではありません。体重を減らすこと、インスリン抵抗性を改善すること。血糖を下げることではなく、血糖はあげないことだけで十分。境界型糖尿病や肥満糖尿病に対して、痩せる注射となるか、どうか、それだけが研究の目標となっていました。
結論を先にのべます。
痩せられました。意図的に肥満させたラットに対して、4週間、グルカゴンダイエットを行うと、4週間で、体重が−17〜42%、減らせることができました。対照薬として用いられたのは、もちろん、リラグルチド(ビクトーザか、サクセンダ)でしたが、より優位に痩せることができたようです。
グルカゴンは血糖をあげるホルモンなので、高血糖が心配されましたが、初期に多少、高血糖になるだけで、痩せてからは、正常血糖にもどったそうです。
遊離脂肪酸もへり、インスリン抵抗性も改善しました。脂肪毒性はとれた、とあります。グルカゴンは、元々脂肪分解ホルモンですから、脂肪が減り、脂肪毒性がとれるのは、当然です。脂肪はインスリン抵抗性を作りますから、インスリンが効きやすくなり、血糖上昇をとめたのでしょう。
しかも、女性にとっては、お肌にもよいかもしれない???(ここは想像ですが)、FGF21も増加させたとあります。痩せてもしわくちゃにはならないかもしれません。
この発表の結論は、驚きです。
注射をして、痩せれば、脂肪毒性がとれる。痩せれば、体内の炎症も治まる。インスリン感性もよくなり、血糖は上がらない。つまり、痩せることで、すべての代謝機構が、改善する。
Limitation(研究の限界)は、このパラダイムシフトの考え方が、人には通用するか、どうか、だそうです。
とうとう、製薬企業が、痩せるホルモン、を作る肥満市場に参入してきた、そういう時代の幕開けといえるのは、今年、2019年だったと言えるかもしれません。韓国からの発表でしたので、12月の国際糖尿病学会Wprは、韓国であります。当初、出席しない予定でしたが、行くことにきめました。
美容内科、という用語、かなり真剣に厚労省に考えてもらわなくてはいけないかもしれません。
HDCアトラスクリニック 院長
鈴木吉彦 著