ミトコンドリア改善薬は「やせにくいの体質改善」薬。
(リブログ:学術記事)
私の糖尿病での、さらに専門領域は、ミトコンドリア糖尿病であり、ミトコンドリアという細胞内の小器官です。
さて、ミトコンドリア機能改善薬である、「イメグルミン」は、おそらく来年、厚労省に認可申請がだされるだろう、画期的なミトコンドリア改善薬、であり、糖尿病治療薬としての新薬です。そして、以前のブログでも解説したように、「太らないインスリン抵抗性改善剤」です。
なぜ、これが重要か、ということを、解説します。(わざと優しく解説するので長文になるのは、お許しください。)
通常、太っている人は、膵臓からのインスリン分泌が多いという特徴があります。インスリンは、血糖値をさげるホルモンです。ところが、肥満がある状態が長く継続すると、インスリン抵抗性、という状態を作りやすくなります。簡単にいうと、「インスリンが効きにくくなる」というわけです。
インスリンが効きにくくなると、末梢での筋肉細胞での、ブドウ糖利用も低下し、エネルギーを消費しにくくなります。つまり、痩せにくくなります。
また、インスリンが効きにくくなると、よりインスリンを膵臓が分泌することになり、インスリンの血液中濃度は高まります。濃度が高い状態を「高インスリン血症」と呼びます。このインスリンが効きにくくなり、高インスリン血症になると、きわめて「痩せにくい」という体質になるわけです。この状態を、「インスリン抵抗性がある」という表現をします。
インスリン抵抗性ができると、インスリン自体は、沢山、分泌されていても、それが、血糖値をさげにくくなり、どんどん膵臓からインスリンは分泌されます。インスリンは、脂肪細胞の分解を抑えるホルモンです。ですから、インスリンが、どんどん分泌されている状態、つまり、「インスリン抵抗性がある」という状態では、「どんどん、痩せにくくなる」という現象が起こるわけです。
ミトコンドリア改善薬であるイメグルミンは、こうした「インスリン抵抗性によって、おこる、痩せにくいという状態」を解除します。これを、「インスリン抵抗性を改善する」、より厳密にいうと、「インスリン抵抗性改善薬」という位置づけになるわけです。
従来、「インスリン抵抗性改善薬」の代表は、商品名アクトス、一般名、ピオグリタゾンでした。ですが、このアクトスは、服薬すると、太ってしまう薬剤として、広くしられていた薬剤です。ですから、肥満治療には不向きだったわけです。インスリン抵抗性改善作用という特徴をもちながら、残念ながら、「太りやすい薬剤」であったのです。
ところが、「太らないインスリン抵抗性改善薬」である、イメグルミンであれば、太ることなく、インスリンの感受性を改善します。簡単にいうと、「インスリンを効きやすくする」というわけです。
そうなると、インスリン抵抗性が解除します。これは、「太りやすくなる体質」を解除する、ということになります。
おそらく、そうした機序も介して、内臓脂肪を減らし、脂肪肝を改善し、血糖値を下げやすくするものと考えられます。
こうした状況ができることは、GLP1ダイエットのようなダイエットには、より良い循環をもたらすことでしょう。なぜなら、GLP1は、膵臓に作用し、インスリンを分泌させる作用をもつからです。ですから、GLP1ダイエットをもちいて、その上に、イメグルミンのようなミトコンドリア改善薬を併用することは、より、インスリンの切れ味をよくし、少ないインスリンで血糖値をさげられる状態を作るはずです。
実は、インスリンは、ホルモンとしては、脂肪の分解を抑えます。つまり、脂肪を貯めやすくするホルモンです。ですが、インスリン抵抗性が改善することで、少量のインスリンだけで、血糖コントロールができるようになるわけですから、膵臓から分泌されるべき、インスリン分泌量は、より最低現ですむということになります。
インスリン分泌が最低現になれば、脂肪細胞は合成されにくくなり、なにかのきっかけがあれば、脂肪細胞は分解されやすくなります。例えば、運動をするなどの刺激があれば、より脂肪細胞は分解されやすくなることでしょう。
そうなると、イメグルミンのようなミトコンドリア改善薬を服用していれば、運動などの効率がよくなり、より脂肪分解を促し、痩せやすい体質の身体にしてくれるはずなのです。
長文にはなりましたが、私が、イメグルミンというミトコンドリア改善薬に期待するのは、「やせにくい体質を、やせやすい体質にする」という作用であるから、です。
ダイエットを志す皆様には、たった一行ですが、
「やせにくい体質を、やせやすい体質にする薬」が、世界で始めて発売される、それも日本が世界に先駆けて最初に発売される、という、この事の意義と、その価値の大きさが、すぐに、ご理解いただけるものだと考えます。ミトコンドリアを専門にする私が、ワクワクする、というのは、こういう背景があるからなのです。
ダイエットを考える上で、「体質改善薬」という見方で言えば、イメグルミンのような薬剤は、「やせにくい体質を改善する新薬」という意味において、待ちに待っていた薬剤が登場する、という事が言えることでしょう。
PS イメグルミンは、フランスのPoxel社が開発した新薬です。その意味では、フランス発の革新的な新薬(revolutional drug)と言っても過言ではないかもしれません。