血糖コントロールより、減量を。ゲームチェンジ。
GIPは、小腸から、大量に吸収されるホルモンです。食事に、すぐ反応します。ですが、GIPは、膵臓に作用して、インスリン分泌には、寄与しません。
むしろ、グルカゴン分泌を増やすことが知られており、むしろ、糖尿病には望ましくないホルモンとされていました。本来、GIPは、抗「糖尿病」ホルモン、だったのです。
しかし、
脂肪細胞の血流を増やす
グルカゴンをふやす
消化管の血流を増やす。
この中で、ポイントは、グルカゴンを増やす事が、抗肥満に繋がります。脂肪細胞の血流を増やすことで、余分な脂肪細胞を、血流にながし、処理させます。
本来、インスリン分泌を促さないGIP.
それを、使って、グルカゴンを分泌させ、脂肪細胞に作用し、脂肪を分解させ、それによって、体重を減らします。
つまり、、脂肪細胞を減らして、体重を減らしてから、糖尿病を治す、という新しい戦略になります。
米国糖尿病学会(サンフランシスコ)では、最先端の医療の未来として、聞いてきましたが、欧州糖尿病学会(バルセロナ)では、本当に、夢が実現するための、具体的な方法論が語られています。
こんな世界の潮流、、、誰が予想していたでしょうか?
今まで数々の国際糖尿病学会に参加してきましたが、これほどまでに、肥満を治してから、糖尿病を治すというコンセプトが主流となった国際学会は、初めてです。
これが、世界か。。。本当に、今回の欧州糖尿病学会は来て良かったと思います。なんとか、追いつきたい、、と、本気で学者として、臨床家として、そう考えました。
体重を落とせば糖尿病は良くなる、、そんな当然のことが原点に戻って議論されています。これまでは、血糖を落とせば太る、のは、よくみる外来の光景でした。ですが、2019年の現代では、その理論を覆そうとしているのが、国際的潮流です。
GLP1ダイエット、なんて、なぜ、そんな美容外科みたいなことやるの? と、当初は、妻から怒られました。それだけ美容外科は信用がないのでしょう。でも、私は真面目な糖尿病専門医です。でも、それが、「ダイエットをしてから、糖尿病を治すのが本流になった」と、妻には説明しようと思います。
23日には、日本に帰ります。今回は、驚きというより、世界の潮流を、しっかり確認しにきた学会参加だったと言えるでしょう。国際学会は、米国では最先端医療の紹介を。欧州では、その最先端医療に対する「解釈」が議論されます。今回は、真面目に、「抗肥満治療」の将来性と価値を確認しにこれました。
なんだか、今回の学会参加は、糖尿病専門医として、言葉を失いそうになります。。
血糖コントロールだけをすればいい時代は、終わったのかもしれません。私にとっては、それは好都合です。私の外来には、血糖コントロールが悪い患者さんは、ほんの一部ですから。
2019年 9月19日
欧州糖尿病学会、バルセロナにて。
ゲームチェンジ、、始めましょう!!