ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(26)
ガリーVSドクタースズキ
○ 糖尿病の子供たちを元気づけたい ○
Dr.鈴木 でも僕は医者だから、一緒に食事をするのは気を使うだろ。何か注意されるかなって。
ガリー いや。僕のやり方を君に自然に理解してもらうことにするよ。お医者さんたちは、僕らにいろんな注意をするけれども、いろんな状態の時があるし、たとえ自己流でやっていても、またその結果が悪くても励ましてほしいんだ。
Dr.鈴木 もちろん、僕も君の生活を理解することが第一だと考えているよ。糖尿病の治療は、その人の生活にかかわり、その人の考え方で大きく変わってくるものだからね。
ガリー ありがとう。困ったときに僕の生活を知っていて相談できる相手がいるのは心強いよ。
Dr.鈴木 君には他にも、相談できる友達がいるんだろう。
ガリー そう、たくさんいるよ。それに友達だけでなく兄弟たちもね。とても僕を励ましてくれるし、僕自身もこの病気になってより一層、みんなの気持ちをわかって相談に乗ってあげたりもしてるんだ。
Dr.鈴木 きみは、日本でも多くの子供たちを励ましてくれたよね。これまで多くの外国人選手が来日したけど、君のように進んで病院を訪問し、子供たちを励ましてくれたのは初めてなんだ。本当に感謝しているよ。
ガリー 僕は野球の才能に恵まれ、こうして他人がうらやむ生活ができている。だから、自分と同じ病気で闘っている人の手助けをしたかったんだ。糖尿病の子供たちは、糖尿病の大リーガーがいる、糖尿病の巨人のピッチャーがいる、というだけで元気づけられるものなんだ。
Dr.鈴木 でも、君の忙しいスケジュールのなかで、こんなに多くの病院を訪問して、体力的にも精神的にも疲れなかったかい?
ガリー 僕も彼らに励まされているんだよ。自分とおなじ環境にある友達がたくさんいることは、自分にとっても励みになることさ。そして彼らに言いたいんだ。人間としての誇りを持とうってね。自分は糖尿病だから違うと考えてはいけないのさ。例えば近視の人の眼鏡のように、ただちょっと他の人とは違ったハンディがあると考えてほしいんだ。そして糖尿病でなくても何らかのハンディを持っている人は他にもたくさんいるわけだしね。糖尿病のばあいh、自分のハンディを自分でコントロールできるだけ、自信をもてるとかんがえるべきだと思うよ。
Dr.鈴木 でもみんな君のように精神的に強い人間ではないこともあるよ。
ガリー それならそれで、そんなに深刻に考えないようにするのさ。一日一日にベストを尽くすことが大事なんだし、あまり先のことは考えないことも大事だと思うよ。今日を精一杯に生きるということは、糖尿病でなくても大切なのだから。
ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの
ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著)
医歯薬出版株式会社
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