ナイスコントロール ガリクソン投手からのおくりもの 連載(20)
ガリーVSドクタースズキ
○ ガリーの得意球はブラッシュバック ○
Dr.鈴木 君は記者に対しても親切で、アメリカにいた時でも一番好かれていたと聞いているよ。ところが、マウンドに上がると挑発的、好戦的になるというので有名とも聞いたけどね。
ガリー 得意だったのはインサイド攻めだったからね。
Dr.鈴木 君の145キロメートルの速球が胸元にきたら怖いだろうね。きっと、僕ならバットを投げ出して逃げ出してしまうだろうな。
ガリー ビーンボールとブラッシュバックは違うんだ。ブラッシュバックは、胸すれすれののけぞらすような球のことだけれど、大リーグなら誰でも投げるさ。そうすれば、つぎの外角の球は打てないからね。
Dr.鈴木 打者もそれはわかっていても、カーッとなってしまうんだろうね。
ガリー ブラッシュバックは、打者に対する投手の警告なんだ。怒るほうがおかしいよ。パーカーなどは肘にインサイド攻めの球がぶつかったときには、にやりと笑ったくらいだよ。
Dr.鈴木 本当に君のなかには、「静」と[動]が共存しているね。
ガリー そうかな。でもアメリカではよく ブラッシュバックで乱闘したよ。(笑って)
Dr.鈴木 あの話、もう一度聞かしてよ。ほら、ゲーリー・カーターとの話。
ガリー ああ、あの話ね。カーターはモントリオール・エクスポスのキャッチャーで、ミスター大リーガーと呼ばれていたくらいの大打者だったんだ。その後、僕はレッズに行き、カータ―はメッツに移ったのさ。あるゲームで、僕の内角攻めがあたってしまったんだ。カーターは、『オレの選手生命を奪う気か』というので、いいかえしてやったさ。『あんたが僕の捕手のときに、さんざん要求した球だろ』ってね。
Dr.鈴木 普段は無口で黙々と練習するタイプのきみから、そのようにすごまれたのでは、さすがのカーターとはいえ、たじたじだっただろうね。
ガリー とにかく相手が誰であろうと、僕は向かっていくピッチングを捨てたくないだけさ。
ナイスコントロール ! - ガリクソン投手のおくりもの
ビル・ガリクソン (著), 鈴木 吉彦 (著)
医歯薬出版株式会社
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